嵐の孤児

シネクラブPによる映画の記録。

悲しみは空の彼方に Imitation of Life

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悲しみは空の彼方に

Imitation of Life 1959年(125分)

監督/ダグラス・サーク

プロデューサー/ロス・ハンター 原作/ファニー・ハースト 脚本/エレノア・グリフィン アラン・スコット 撮影/ラッセル・メティ 音楽/フランク・スキナー

出演/ラナ・ターナー(ローラ) ジョン・ギャビン(スティーヴ) ジャニタ・ムーア(アーニー) スーザン・コーナー(サラ・ジェーン18歳) サンドラ・ディーン(スージー16歳) マヘリア・ジャクソン(特別出演)

(あらすじ)
 1947年。未亡人のローラは舞台女優を目指し、6歳の娘スージーとニューヨークでアパート暮らしをしていた。2人はコニーアイランドの海岸で黒人女性アニー、8歳のサラ・ジェーン親子と出会う。アニーは白人の夫に捨てられ、途方に暮れていた。混血のサラ・ジェーンは一見白人にしか見えない。アニーはローラのまかない婦になるといい、報酬を求めようとはしなかった。その夜から、狭いアパートでの4人の共同生活が始まった。アニーは広告モデルの仕事に甘んじる失意のローラを暖かく見守った。ある夜、海岸でスージーとサラ・ジェーンの写真を取っていた青年スティーヴが子どもたちとの約束通り、写真を届けに来た。スティーヴはプロの写真家を目指しているが、今はその日暮らしの身だった。スティーヴはローラに心惹かれる。ある日、俳優エージェントのアレンが新作劇のオーディションを行っているとの情報に、ローラは旨く取り入って採用されるばかりになったが、好色なアレンに言い寄られ、逃げんばかりに帰ってくる。悲しみに暮れるローラをスティーヴとアニーは慰める。
 サラ・ジェーンは、自分が黒人の血をひいていることに、極端なコンプレックスを抱いていた。ある雪の日、コートを届けに授業中の教室に入ってきた母親をサラ・ジェーンはなじり、黒人であることを知らされた学校にはもう行かないと泣き叫ぶ。自分の血を呪う娘にどう言い聞かせればいいのか、アニーは悩む。
 スティーヴは広告会社の専属カメラマンとなったことを、ローラに告げ求婚する。ローラが家庭に収まることを望むスティーヴに対し、ローラは結婚を承諾しながらも夢を捨てる気はないと答える。折しも、アレンから電話が入る。売れっ子の劇作家、デヴィッド・エドワーズが雑誌の写真で見たローラを、今度の新作に出演させたいというのだ。承諾するローラ。激しい口論の末、ローラは引き留めるスティーヴをふりほどき、外へ出ていく。稽古が進められ、初日は大成功を収める。観客のなかには複雑な表情のスティーヴがいた。デヴィットはローラにいつしか心惹かれ、ローラに求愛し、ローラは受け入れるのだった。ローラは押しも押されぬ大女優となって、10年の歳月が流れた。スージーもサラ・ジェーンも美しく成長し、アニーはローラに献身的であった。4人は口外の大きな屋敷に引っ越すが、その時ローラとデヴィッドの愛も終わる。新たな分野の芝居に挑戦しようとするローラへ、デヴィッドが反対したことが原因だった。しかしローラは成功を収める。初日の楽屋に、今では広告会社を経営するスティーヴが訪れ、皆が再会を喜ぶ。ローラとスティーヴは再び愛し合う。スティーヴはローラを旅行に誘うが、彼女はイタリアからの映画出演の依頼を理由に断る。スティーヴは懐疑的にならずにいられなかった。サラ・ジェーンには町で知り合った、結婚を約束した白人の恋人がいた。自分が黒人であることを知られる事への恐れから、母親やローラへの反発は強くなっていった。しかし彼女は母親を、心では愛していた。ある夜、駆け落ちをせがむサラ・ジェーンに、恋人は彼女が黒人であることを噂で聞いたと激怒し、彼女を殴り、去っていく。自棄になった彼女は図書館の夜勤と偽って、ナイトクラブで踊り子の仕事をする。それに気付いたアニーはサラ・ジェーンを店に訪ねるが、怒ったサラ・ジェーンは家出し、行方不明となる。ハリウッドのキャバレーに勤めていることが分かると、アニーは早速会いに行くが、呼び戻すためではなかった。白人としていきたい娘の願いを尊重し、愛し合うは母娘は泣きながら永遠の別れをする。アニーは病に伏す。一方、スージーはスティーヴに恋をして、彼と自分の母親が婚約したことを聞かされショックを受ける。ローラは仕事に夢中になったあまり、母親の義務を果たしていなかったことに気付き、名声と栄光にかすんでいた家庭の大切さ、これまでの生活の虚無さを認識する。アニーはローラに見守られ、逝く。パブテスト教会の盛大な葬列が始まろうとする時、サラ・ジェーンが霊柩車に走りよってきた。彼女は母親の棺にしがみついて自分が母を殺したようなもの、と泣き叫ぶ。葬列が始まる。霊柩車のなかに、肩を寄せ会うローラ、スージー、サラ・ジェーン、そしてそれを見守るスティーヴの姿があった。